葉山 加治邸へ

先日、葉山にある加治邸を訪れました。
1928年に竣工、三井物産初代ロンドン支店長であった加治利夫氏の別荘。有形文化財に認定されています。
小さな帝国ホテルと言われ、フランク・ロイド・ライトのイズムをより濃く受け継いでいると言われる建築家、遠藤新の作品です。

少し前にパナソニックニュージアムで開催されていた「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築展」を拝見し、ますますその魅力を感じていたときに加治邸見学の話が舞い込んできました。

海だけれど山の多い葉山という立地にぴったりな、贅沢で雄大な設計でした。
自然を感じ、心豊かに暮らす。そして、建築家が家の全て(コンセプト、家に合わせたオリジナル家具、照明、建具などなど)を監修・設計をする「全一」、住む人に芸術の全てを感じてもらう家。

門扉を入り、玄関へ続く階段。

エントランスには大谷石の手水鉢と景色を望む大谷石のベンチがありました。

人が集う場所とプライベートスペース、家族ひとりひとりの居場所、遊戯場所、心地よいテラス、それぞれがリズミカルにつながる空間。そこかしこに、ため息の出るような仕掛けがしてあります。

大谷石が家の中と外の空間を繋ぎます。

テラスルームのドア、ここにも視覚の仕掛けが。ガラスの六角形はやや下についていて、二段下がったテラスルームへの期待感と入った時の開放感が増します。椅子も六角形テーブルもオリジナルの籐家具で揃えてあります。

リビングを見下ろす小部屋。ヌックと言われるスペースでしょうか。
その昔はピアノ室だったようです。リビングで寛ぎながら、ここで演奏するピアノの音が天井から降りそそぐ。なんて優雅なのでしょう。

2Fは子供部屋が3部屋。今は宿泊のベッドルームになっています。各部屋とも、照明が窓際にある。なぜ?と案内の方にお聞きしたら、光をより捉えるために、、、とおっしゃっていましたが、も少し詳しく聞きたかったな・・・。

ビリヤード場として設えられた部屋。球体を意識したデザインがいろいろなところに。
残念ながらビリヤード本体は、戦後アメリカ軍に没収されてしまったそうです。ひどい・・・。

このリズム感、たまらないですね!!!!!

ビリヤード室とリビングの間にある室内窓は屏風のようなデザイン。

建物内にマントルピースは4箇所あるのですが、唯一、プライベートダイニングの暖炉はア・シメトリーなデザイン。
フランク・ロイド・ライトといえば、シンメトリー(左右対称)なイメージですが、ここはオリジナリティをより濃く出したかったのでしょうか。

「自由学園明日館」を彷彿とさせるダイニングの窓。

その先にはバイオエタノール暖炉がある憩い空間。外の空気を感じ、夜はここで語らいたい。早朝も気持ちよさそうです。(ここは後からデザインされています。)

各所、オリジナルのままのタイルも健在。

地下にあるお風呂は小山薫堂が湯道百選のひとつに選ばれているそうです。


大きすぎて画角に入りませんでしたが、大きな浴槽と寝湯が楽しめる広さ。天井は1Fまで吹き抜けにしてありました。なので、地下でも陰湿な感じはなくて明るい!

お庭から見たテラスの窓枠の銅板は、補修され新しいものになっていました。これが経年変化で屋根のような青銅になっていくのだそうです。

歴史的な建築物や神社仏閣など、そのままの美しい形で後の世代にまで継承していきたいものです。その責任を私たちも担っているということをとても感じましたし、微力ながら貢献していきたいです。
1棟貸しで宿泊もできるので、いつか泊まってみたいですね。

ここでだけ購入できる本。間取りや詳細図面、換気システムのことなどが掲載されています。必見です。

満喫してきました加治邸。写真が多すぎて選べない。。。たくさん載せすぎて見にくかったらすみません。
何度も訪れたい場所です。

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