東京デザインセンター2Fにて進行中の「株式会社アベイチ × Garnier-Thiebaut」ショールームプロジェクト。今回は、全体のコンセプトと空間を印象づける“床”に焦点を当ててご紹介します。
前回の記事はこちらから→→→「vol.1 東京デザインセンター・新プロジェクト」
「Garnier-Thiebaut(ガルニエ・ティエボー)」の魅力は、色彩豊かなテキスタイルと、縦糸も横糸も色ある糸を使用し、繊細な織柄が作りだす世界観。
ブランドの拠点であるというフランス・ヴォージュ地方の空気感もあるのでしょうか。
「株式会社アベイチ」はウェディングシーンを含め、日本中のビジネスホテルから高級ホテル・旅館まで幅広くホテルリネン類などを提供されています。
「床で空間を分ける」というアイデア
当初のプランでは、ショールームを構成するふたつのブランド(アベイチ/Garnier-Thiebaut)のイメージを、床材の切り替えで視覚的に分ける構想がありました。
また、デザインセンターの基本的な設計がとてもユニークなので、空間のカタチが特殊なこともその面白さにつながるかと考えました。

- Garnier-Thiebautゾーン(左側):フランスの石畳を思わせるタイルで街角のような雰囲気に。
- アベイチゾーン(右側):素材感とキリッとした印象のあるトーンの床で落ち着きある佇まいを演出。
それぞれの世界観が調和しつつ、明確に個性が伝わる構成を目指していました。


■最終的には、予算とのバランスで断念
現実にはコストとのバランスを取ることが必要(これはとても大事!)で、床の切り替えは断念することに。最終的には、どちらのブランドの世界観も活かせる統一された床材で展開する形にまとまりました。
■マルシェをイメージしたアプローチ
Garnier-Thiebautゾーンでは、床での分離がなくなった分、「マルシェ(市場)やウィンドウショッピングの風景」をイメージし、什器やレイアウトで世界観を立体的に表現。これからの販売戦略も加味していきます。
フランスの空気を感じさせる軽やかな色使いや、ウインドウ越しに商品を眺めるような視線設計を意識しました。企業イメージにも配慮し、エレガントさと伝統的な風合いを両立させた空間づくりを目指しています。
現地で撮影されたという壁面パネルの写真を参考にしながら、「視覚のトロンプルイユ(だまし絵)」を取り入れた装飾案も検討。空間に奥行きや遊び心を加えたいという想いがありました。



意見を出し合い、もみ合い、お互いがピンとくる合致点にたどり着くまでの工程が楽しい時間。
■ペイントカラー&モールディング
空間を“床”で分けるという発想から広がったデザインの方向性、結果的にはペイントカラーとゾーニングで世界観を分けることにしました。
Garnier-Thiebautゾーンでは、床での分離がなくなった分、什器やレイアウトで世界観を立体的に表現することに。ブランドカラーを意識した軽やかな色使いと大きなオリーブの木の配置、オーニング風の小屋根などの案に落ち着いていきました。
室内でありながら外に居るような設え、エレガントさと伝統的な風合いを両立させた空間づくりを目指します。

壁の色に選んだのは、イギリスの老舗ペイントブランド「Farrow & Ball」のカラー。
どの色もネーミングから物語があり、空間に深みを与えてくれる、大好きなブランドです。
Garnier-Thiebautエリア:#229「Elephant’s Breath」。
ブランドカラーに近くやわらかく明るいグレージュで、リネンの繊細な色彩とオリーブのグリーンも引き立ててくれます。
アベイチエリア:#276「Mole’s Breath」。
より深みのあるグレーで、落ち着いた商談の場にふさわしい凜とした雰囲気を演出します。ショーウィンドウの前に佇むような、静かな緊張感のある色です。
ベッドリネンやルームウェアは「白」が基調になることも多いので、展示したときに同調しすぎないカラーをセレクトしました。
同じグレー系でありながら、明暗でゾーンを分ける。
家具の色によってふたつのエリアはそれぞれの役割を持った空間になりました。

全体的なスキームはこんな感じに決まってきました。
ただ塗装するだけでなく、モールディング(装飾縁)を施して空間に陰影を与えています。
室内より外壁に使われるようなやや大ぶりで強めのモールディングにすることで、ウィンドウショッピングの延長上にあるような雰囲気を作れたら、と照明も組み込むことにしました。
入口のアイキャッチにも、ガス灯をイメージするような街灯を配置することに。背面にはカタログに使用されている「マルジェラホテル」の画像を大きくパネルにしてブランドイメージを統一していきました。


次回Vol.3では、施行中の様子などをご紹介する予定です。
どうぞお楽しみに。